手書き文字デザインを使ったロゴ作成の良さ

企業や店舗などのロゴを作る際、色合いや柄などたくさんの選択肢がありますが、文字フォントも悩ましい要素の一つです。世の中に溢れる様々なロゴを見ていると、独自のフォントを使っているように見えるものも多いですが、ああいったものは既存のフォントを変形させて作っているだけで、完全に手書きで作っているものはそんなにはありません。

ロゴを手書きでデザインすると、どういったメリットがあるでしょうか。


本体デザインとのシームレスな融合

ロゴ作成の際、手書き文字を使うメリットは、本体デザインとシームレスに融合できるところにあります。例えば本体の絵が丸くふんわりしていた場合、そこにイメージの近いフォントで文字を添えるよりも、ふんわりした字をそのまま手書きで再現してデザインすることができるのです。

これは全体のまとまりを良くするために非常に有効なデザイン方法で、手書きのメリットと言えるでしょう。全体を囲う枠があったとしたら、そのデザインに似せて字を書いてしまったり、背景に溶け込ませるように字を配置することも可能です。

手書き文字の自由度の高さはフォント文字とは比べものになりません。また、そもそも手書き文字はインパクトの強い手法なのです。整列された印刷物の中に突然登場する手書き文字は、一見した人に違和感を与え、それと同時に強く印象に残します。

かわいい感じの文字だけでなく、ちょっと達筆だったり、もっと荒々しい文字もそういったデザインには使われます。どれもここにしかないオンリーワンのデザインで、見た人が変わってるな、凄いなと思ってくれるデザインと言えるでしょう。

「企業のロゴ作成をする際にデザイナーが気を付けるべき点とその工程」

自分の筆跡を持っているデザイナー

自分の字というものを持っているデザイナーなら、手書きは大きな武器の一つとなるでしょう。手書きの字と言ってもいくつか種類があり、達筆から可愛い丸文字、読みやすさに注力したバランスの取れた字など、バリエーションがあります。

その時に作るロゴの雰囲気に合わせて使い分ける事ができるのです。筆跡を武器にしているデザイナーの中には、文字だけでロゴを作るというコンセプトを打ち出している人もいます。それだけ筆跡という個性は、デザインにおいて大きな力を持っているのです。

「へたうま」というデザインのジャンルがあり、手書き文字もそういったカテゴリに分けられるものがあります。飲食店のメニューや営業中の看板などで、気合いの入った毛筆のデザインが使われているのを見たことがある人も多いでしょう。

凄く上手い字という訳ではないのに、見た人に大きなインパクトを与えます。筆の力強さ、モノクロであることのシンプルさと潔さ、そして良く見るとフレーム内に綺麗に収まっているというバランスの良さが詰まっているデザインです。

デザインだとしても字としての可読性を損ねてはいけない

しかし手書き文字を使ったデザインでロゴを作る際には、注意する点があります。それは手書きであるがゆえに、字というものを崩しすぎがちという部分です。あまりにも大きく崩してしまった字は、字として読めなくなります。

それでもいい場合もありますが、基本的にはロゴは読めなければいけないので、可読性を損ねない方が良いでしょう。ギリギリ読めるラインでありつつ、個性を出すことが手書きデザインには重要です。変わった模様が入ってるな、あ、これは字で作られているんだ、といったトリックアートのようなデザインもあります。

そういったデザインは字として読めなくてもいい部分もあるのですが、気付いた人が解読しようとしても読めないのでは意味がありません。ギリギリ最低限の可読性は残しておき、せっかく見付けた人が頑張って読んでくれたら意味が分かる、そういった仕組みが望ましいでしょう。

その人にしか作れないことの危険性

ショップのロゴを担当者が手書きデザインで作って、それに派生してポップなども作っていたとします。ロゴがとても好評なデザインで、ロゴの手書き文字のデザインをそのままポップなどに使っていた場合、店内はとても統一感のあるデザインになります。

しかしこういった一人の担当者、デザイナーに依存した環境というのは、その人がいなくなってしまった場合、途端に再現できなくなるという危険性をはらんでいます。通常のデザインなら次の担当者にフォントを引き継げばいいのですが、手書きだとその人の腕に依存しているので、引き継ぐことができないのです。

こういった担当者に任せっきり問題はデザイン以外の面でも言われることですが、デザインにおいては特に手書きで影響の出る部分です。ショップのロゴと同じ筆跡でポップを作ろう、と思ってもその人がいなくなってしまったら、もう作ることができません。

せいぜいトレースするか、似せて作ることができるぐらいです。

デザイン部分はある程度真似して作れるのですが、筆跡まで行ってしまうとどうしようもできません。そういったトラブルの可能性があることを念頭に入れて、手書きデザインを使うようにしましょう。

ベクターデータに変換しなければならない

手書きデザインの作り方は、紙に書いてそれをスキャンしてデータ化するやり方と、ペンタブレットを使って直接パソコン上に手書きするやり方があります。ここで注意しなければならないのは、ロゴを作る場合は最終的にベクターデータに変換しなければならないことが多い点です。

ロゴのデータはIllustrator形式で作られることが多く、作成工程が手書きだったとしても完成品はベクターデータにしなければなりません。それまでの工程でペイントのようなドローソフトで作っていた場合、そこからベクターデータに自動変換はできないので、トレースなどの方法で作り直す必要があるのです。

具体的に手順を想定してみます。Photoshop上でペンタブレットを使って手書きデザインのロゴを作ったとします。それをIllustrator形式にしなければいけないので、PhotoshopのデータをIllustratorで開き、レイヤーを重ねて上からベクターデータで作り直すという作業が必要になります。

なかなか手間ですがIllustratorデータはペンタブレットから直接手書きするには相性の悪いデータです。点、線、曲線などで作られているので、自由すぎる曲線は直接の書き込みに適していないからです。

手書きデザインは特殊である

手書きデザインは、個性的、インパクトが強い、といった面で簡単に特徴の出せるデザイン方法で、人気の高いものだと言えます。しかし特殊なデザインであるが故に、特殊な注意点が存在してしまうのです。手書きデザインを採用する際はそれらを吟味した上で、後になって問題が発生しないように気を付けつつ作成するべきでしょう。